開発および電池に関する技術資料です。
モバイル機器等の電源設計にお役立てください。

01 電池とは何か

電池を分類すると図のようになるといわれています。この中で、われわれにとって重要なのは化学電池で、乾電池、アルカリ電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などが実用的に使われています。時計やメモリーバックアップなどに酸化銀電池やリチウム一次電池なども大量に使われています。
電池の分類としてよく使われるのは使い捨て電池である一次電池(Primary Battery)と繰り返し充電して使うことが出来る二次電池(Secondary BatteryもしくはRechargeable Battery)です。従来、二次電池の代表は自動車に使われる鉛蓄電池でした。近年になってニッカド電池(Ni-Cd)が登場し、ニッケル水素電池(Ni-MH)、リチウムイオン電池(Li-ion)へと進化していったのはご存知の通りです。
最近、燃料電池が注目を浴びていますが、実用となるのは、もう少し先のように見えます。
【05 燃料電池はリチウムイオン電池を駆逐するか】をご参照ください。

 

 

02 二次電池とは

二次電池とは繰返し充放電ができる電池のことで、使い捨て電池である一次電池に対するものです。英語では Secondary Batteryですが、Rechargeable Batteryといわれることも多いようです。
従来、充放電可能な電池としては100年以上の歴史がある鉛蓄電池が代表的なものでした。現在でも自動車用をはじめ、無停電電源などに広く使われています。容積が大きく、重いこと、さらに、低温特性が悪いことなどの短所があるにもかかわらず、大量に使用されているのは、容量当たりのコストが他の二次電池に対して、圧倒的に安いことと、大電流放電が可能なためです。
 

03 リチウムイオン電池の特性

Ni-Cd、Ni-MH、Li-ion比較

リチウムイオン電池の、他の二次電池に対する特徴は小型、軽量、高電圧、メモリー効果なしという諸点にあります。
電池の外形サイズ、重量の比較には体積エネルギー密度と重量エネルギー密度という単位が使われます。体積エネルギー密度とはWh/m³またはWh/Lという単位で表され、重量エネルギー密度はWh/kgという単位で表されます。
 

04 リチウムイオン電池の種類

リチウムイオン電池にもいくつかの種類があります。ここでは「形状」、「正極材料」、「負極材料」、「サイズの表記方法」、「標準的なサイズ」についてご説明します。
 

05 燃料電池はリチウムイオン電池を駆逐するか

燃料電池の開発が精力的に行われています。携帯電話やノートパソコンへの搭載でバッテリー駆動時間を延長するのが目的です。 以前よく言われたのは、ノートパソコンは米国出張の帰国の飛行機の中で、出張報告を書くために8時間程度連続して使いたいということでした。
 
最近は出張報告は現地のホテルで書いて、そのままメールで送付するのが当たり前になってきたため、 このような要求はマイナーなものになってしまいましたが、スマートフォンで映画を長時間見たいとか、新幹線移動の最中にパソコンで仕事をこなしたいということで、やはり長時間駆動の電池を期待する声が強くあります。
また、バッテリー充電時間を短縮したいという要求も大きいものがあります。 まだまだ実用域にまでは達していない燃料電池ですが、現状よりさらに小型化され、 燃料の入手手段も確立されたときには、ノートパソコンの電池はどうなるのでしょうか。